Mind-Body Medicine and Mental Health

脳・こころ・神経はとても密接につながっており、それぞれがお互いに影響しあっています。
ストレスなどによりその一部に不具合が生じると「精神・こころ・からだ」のあらゆるところに、に症状として現れます。

しかしストレスを自覚していない場合や、原因自体がない場合もあります。
主に不調を来しているところを見極め、お薬の治療を優先したり、カウンセリングを行ったり、あるいはその組み合わせで治療をしていきます。

Clinical Services

対象疾患

気分障害
「うつ病」「躁うつ病(双極性障害)」
統合失調症
認知症
神経症性障害
「不眠症」「自律神経失調症」「適応障害」
「不安障害」「パニック障害」「社交不安障害」「強迫性障害」
生来性の脳機能障害
「知的障害」「発達障害」
身体的健康問題に関連する心理的状態
「依存症」「神経性胃炎」「過敏性腸症候群」

こんな症状がある方はご相談ください

睡眠と気分の問題
「眠りが悪い」「気分が落ち込む」「やる気が出ない」
不安とストレス関連の問題
「不安」「イライラする」「被害的思考」
「自律神経症状」「人前で過度に緊張する」
認知と感覚の問題
「物忘れ」「理解力・集中力の低下」「幻聴」
行動と社会的問題
「お酒がやめられない」「不登校」
「コミュニケーションがうまく取れない」「じっとしていられない」

これらのうち1つ以上当てはまる場合は、
何らかの疾患を抱えている可能性があります。
お早めに当クリニックにご相談ください。

ワクチン接種

当院ではインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンを行っています。

Common Health Conditions

不眠症

不眠症とは

不眠症は「全く眠れない」という症状だけではありません。熟睡感がない、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝方に目が覚める…といった「睡眠の量と質が低下した状態」を指します。脳やこころの病にかかっている方の多くが、疾患の初期段階から現れる症状です。「眠りの悪い日が続くな」と感じたら、ほかの症状が出る前に早期受診をお勧めいたします。

不眠症の治療

睡眠環境を細かく問診し、寝具の調整などを行います。不眠症状を強く感じられる場合は、お薬での症状緩和を検討します。すでに他の疾患がある場合は、そちらの治療も同時に行います。

うつ病

うつ病の症状

うつ病は、落ち込みやイライラなど気分が長い間スッキリしていない状態が慢性的に続く症状が基本にあります。また、不眠、食欲不振、肩こり・頭痛、性欲減退、生理不順など、身体症状や自律神経症状も引き起こします。次のような状態が2週間以上続く場合は「うつ」の可能性があります。症状が軽くても、どうぞお早めにご来院ください。

  • いつも気分が暗い
  • やる気がでない
  • 趣味などにも興味がわかず、何をしてもおもしろくない
  • 不安になる
  • 眠れない
  • 食欲がない
  • 疲れやすい
  • 人と会いたくない
  • 頭がうまくまわらず、物忘れがひどい
  • 味を感じにくくなった、口の中に苦みが残る
うつ病の原因

これまで、うつ病は神経解剖学的(脳や神経などの機能、仕組み)に異常はないとされてきました。しかし近年、記憶を担当する「海馬」などの脳の部位が委縮(脳細胞数の減少)することが原因の一つであることがわかってきています。
うつ病は「こころの風邪」ではなく、脳の病気、脳細胞の病気、脳神経ネットワークの病気なのです。
約16人に1人が一生のうちにうつ病を経験するという統計が出ています。それほど非常に身近な病気であることがわかります。

うつ病の治療

うつ病と診断されたら、休職・休学などで脳の休養をしっかりとっていただくことが理想です。当院では抗うつ薬などを処方し、悲観的になりやすい考え方や不安を感じやすいこころの状態をケアします。
お薬は、従来の「三環系抗うつ薬」に加え「SSRI」「SNRI」「NaSSA」という新しい治療効果のある抗うつ薬も導入します。脳の神経細胞をつなぐ「神経伝達物質=脳内ホルモン」の機能が低下した状態に対し抗うつ薬を服用することで、ホルモンの働きが活性化され、症状が緩和する効果が期待できます。
新たなお薬の登場・進化により、治療の選択肢が広がっていることはもちろん、副作用も軽減されてきております。

統合失調症

統合失調症の症状

統合失調症の症状は大きく分けて3種類あります。
①障害により出現する「陽性症状」(幻覚、妄想、興奮など)
②障害により通常の機能が失われることで見られる「陰性症状」(感情の平板化、意欲低下、思考障害など)
③認知機能障害(記憶力・注意力・判断力の低下)
幻覚や妄想などの体験は患者さんにとって現実との区別がつかず、周囲との意見の食い違いから家族内、職場内、さらには広い範囲の社会でトラブルとなったり、孤立したりしてしまうこともあります。
発症すると、次のような症状や体験が表れます。

  • 自分の悪口が聞こえる
  • 周囲が嫌がらせをしてくる
  • 誰かに監視されている、盗聴されている
  • 自分の考えが周囲にばれてしまう、伝わってしまう
  • テレビやインターネットなどで自分の情報がばらまかれている
  • 誰かから電磁波などで攻撃されている
  • イライラする、興奮しやすい
  • いつも独り言を言っている、ニヤニヤしている
  • 喜怒哀楽が乏しくなる
  • 意欲が低下し、周囲への興味や関心がなくなる
  • 言葉数が少なくなる
  • 注意力が散漫になる
  • 考えがまとまらなくなる
  • 言動が支離滅裂になる
統合失調症の原因

神経伝達物質の「ドパミン」が脳内で過剰に分泌されることが原因の一つと言われる脳の病気ですが、すべての原因が明らかになっておらず、詳細不明とされています。
年齢や性別を問わず、約100人に1人が発症します。多くの方が10代後半から30代前半に発症しますが、女性のみ40代で二度目の発症ピークが見られます。

統合失調症の治療

主な治療は薬物療法です。過剰に分泌されたドパミンを抑える効果がある「抗精神病薬」を中心に使用します。従来の「第一世代抗精神病薬」に加えSDA、MARTA、DSSといった「第二世代抗精神病薬」が導入されています。これまでは陽性症状が改善しても、陰性症状や認知機能低下に対してはなかなか効果が見られないことが多くありました。しかし近年の治療薬の進歩により、少しずつ効果が期待できるようになってきております。
お薬の力を上手に借りながら、ご病気の知識や症状への対処方法を学んでいただき、生活レベルを保つ心理教育や、生活支援、リハビリなどを同時に行います。

認知症

認知症の症状

脳は加齢によって次第に機能が低下し、記憶や思考へ影響していきます。物忘れなどが増えていくと、段階的に次のような状態にあると診断されます。
①一般的な加齢の範囲内 ②軽度認知障害(機能低下の程度による) ③認知症レベル

認知症には最も多いアルツハイマー病をはじめ、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など多様なタイプがあります。
アルツハイマー病は物忘れが目立つなど「中核症状(記憶障害、見当識障害など)」から発症することで周囲に気づかれるケースが多くあります。
他のタイプはイライラ、興奮、妄想、徘徊など「周辺症状(行動・心理症状)」から発症します。
次のような症状をご本人が自覚した場合、またはご家族が気づいた場合は当クリニックへご相談ください。

  • 同じことを何度も言ったり聞いたりする
  • 置き忘れ、しまい忘れが多くなった
  • 財布や通帳などの大切なものをなくすようになった
  • 約束事を忘れるようになった
  • 時間や場所の感覚があいまいになってきた
  • 道に迷うことが増えた
  • 薬の管理ができなくなった
  • 物の名前、人の名前がでなくなった
  • 元気がなくなった
  • 趣味への興味が薄れたり、意欲がなくなった
  • 鍋をこがしたり、水を出しっぱなしにしたり、電気の消し忘れが増えた
  • 料理のレパートリーが減り、同じ料理が増えたり、味付けが変わった
  • 手が震えるようになった
  • 転びやすくなった
  • 怒りっぽくなった
  • いるはずのない人などが見えるようになった
  • 財布やお金を盗まれたと騒ぐ
  • 眠れないことが増え、時に夜間に意味不明な言動が見られる
アルツハイマー病の原因

「アミロイドβ」などの特殊なたんぱく質が脳に溜まり、正常な神経細胞が壊れて減り、機能異常が起きるとされています。神経細胞が減ることで次第に脳が委縮し、脳そのものや、脳の指令を受けている体の各機能も失われていきます。高齢になればなるほど発症率が上がりますが、50代、中には40代以下で発症するケースもあります。
厚生労働省は2025年にアルツハイマー病を含めた認知症の患者数が約700万人にのぼると推定しており、もはや「国民病」とされています。

軽度認知障害・認知症の治療

軽度認知障害とは「認知症の前段階の状態」です。適切な治療を行えば認知症への進行を防ぎ、正常レベルまで改善されることが期待できます。一方放置しておくと、5年間のうちに約50%の人が認知症を発症するといわれています。いちど認知症になると根本的には治らないため、早期治療が非常に重要なのです。
治療に使う「抗認知症薬」は、中核症状の進行を遅らせたり周辺症状を軽減したりする効果があります。ご高齢の方が多いため、ご本人やご家族と相談しながら薬の効果と副作用のバランスを見て調整を行います。
お薬以上に大切なのが「リハビリ治療」。十分なリハビリを行うことで、お薬と同等かそれ以上の効果を期待できます。状況やご希望によってリハビリのみの治療から始めることも多くあります。例えば、ご本人に家庭内で家事などの役割をお願いすることもリハビリ方法の一つです。脳への刺激になるとともに自己肯定感が高まり、こころの安定にもつながります。読書や計算、ウォーキングなどの有酸素運動、音楽、園芸、動物と触れ合うなど、生活に彩りを加えることも非常に大切です。家庭内での取り組みととともに、デイサービスなどの施設通所によってリハビリをしたり、第三者との交流の場を得たりすることも有効です。
進行に伴い、要介護状態が高くなってくると、どうしてもご家族の負担も大きくなってしまいます。当クリニックでは、介護・福祉関係の支援者との協力体制を築き、負担を分散させたり、対応方法のアドバイスを行うなど、ご家族に対してのケアも可能な限り積極的に介入しております。

自律神経失調症

自律神経失調症の症状

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経から成り立っています。これらは全身に分布し、体温や呼吸、血管、内臓などの動きを無意識的にコントロールしています。「交感神経」は日中活動する際に活発になるアクセルのような神経。「副交感神経」はリラックスしている時や睡眠時に優位になるブレーキのような神経です。通常はこの2つの神経がうまく連動してバランスをとっているのですが、何らかの原因でバランスが崩れてしまうと体やこころに症状が現れます。
通常、内臓に異常や疾患がある場合はその部位のみの症状で済むことが多いものです。一方で自律神経が原因の場合は、体のあらゆる場所へ同時に、または入れ替わりで見られます。このため、内科や耳鼻科、整形外科などを受診しても「異常がない」と言われ、最終的に精神科や心療内科を紹介される方も多くいらっしゃいます。次の症状に2つ以上当てはまる場合は、自律神経失調症が疑われますので当クリニックへご相談ください。

  • めまい、立ちくらみ
  • 耳鳴り
  • 動悸
  • 息苦しさ
  • 胸や胃のあたりの違和感、不調感
  • 胃痛、胸やけ
  • 下痢、もしくは便秘
  • 肩こり
  • 頭痛、頭重感
  • だるい、疲れやすい
  • 汗をかきやすい
  • ほてり
  • 手足の冷え
  • 手足のしびれ
  • のどに違和感がある、飲み込みづらい
  • 咳が多い
  • 微熱が続く
  • 眠りの質が悪い
  • 落ち込みやすい
  • やる気がでない
  • 不安になる
  • イライラしやすい
  • 感情の起伏が激しい
自律神経失調症の原因
  • ストレス

    仕事や人間関係、環境の変化などの「こころに対するストレス」だけでなく、感染、化学物質、カビなどの「体に対するストレス」も原因となります。天気が悪い時や気圧の変化がある時に、症状が強く出ることもあります。

  • 生活リズムの乱れ

    不規則な生活により体内時計が乱れ、交感神経のスイッチが誤作動を起こしやすくなります。

  • 食生活の乱れ

    ビタミン不足や糖質の過剰摂取により「ストレス回復機能」が低下します。また血糖値の乱高下により、交感神経のスイッチが入ったままの状態になることも原因のひとつに。さらに、夜遅くや寝る前の食事で副交感神経が働きにくくなることもあります。

  • 女性ホルモンの影響

    女性は年齢ごとにホルモンのバランスが変化し続けており、これにより自律神経のバランスにまで影響を及ぼすことがあります。

自律神経失調症の治療

それぞれの原因に合わせた治療をご提案いたします。ライフスタイルの改善がとても大切なので、現在のご状態を見直していただいた上で、ストレスへの対応方法を一緒に考えてまいります。
投薬については、体質改善を目的とした漢方薬、抗不安薬、精神症状が強い場合には抗うつ薬なども検討いたします。

パニック障害

パニック障害の症状

呼吸が苦しくなる、動悸、めまい、しびれ、発汗、ふるえ、頭の中が真っ白になるなどといった症状が突然発作的に出現します。この発作はパニック発作と呼ばれます。発作時にはこのまま死んでしまうのではないか、という強い不安や恐怖感に襲われることもあります。発作は電車や人混み、自動車の渋滞中など、「もし発作が起きたら逃げることができない」ような状況で起こりやすいです。重症化すると次第に、発作が起こりうる状況を回避するようになり、日常生活、社会生活が著しく制限されることになったり、うつ病を合併することもあります。

パニック障害の原因

女性は男性の2倍の発症率です。パニック障害は心の問題や気の持ちようなどでなく、脳内の不安や恐れに関する、神経系の機能異常に関連していることがわかっています。発作自体は、自律神経の交感神経の過緊張状態によるものです。不安と恐れで頭がいっぱいになり、前に発症した記憶を思い出してしまい、自ら発作を誘発します。

パニック障害の治療

重症化する前であれば、抗うつ薬や抗不安薬といったお薬での治療が有効であることが多いです。3分の1は病状が治まりますが、残り3分の2は症状が少し残ったり、慢性化します。

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